3月と12月を決算期に選んではいけない3つの理由
川越市の市立川越高校前で税理士事務所を経営しています佐々木です。
本日は、独立を相談される方が決算期を簡単に選んでいるようなので、ちょっとアドバイスと思い、記載します。
きっと相談する相手がいないうちに決めてしまったんだろうなあと思うかたが多いです。
独立前から税理士に相談しにいくのも一つの方法だと思います。
3月と12月を決算期に選んではいけない3つの理由
1 一般的にどこの会社も繁忙期になるので、取引金額が多く、最終的な利益のイメージがつかみづらい。
繁忙期になると、どの会社も取引金額が大きくなるため、決算前後の数か月は、必要資金が多くなります。たとえばいつもの月は100万円あれば会社がまわせるのだけれども、繁忙期になると、300万円ちかくお金がかかり、仕入業者への支払いだけが先行するため、入金はそのあと・・・。節税のしたいけれど、お金が足りなくなると困るから有効な手段が取れない。
こんな声をよく聞きます。
2 繁忙期になりがちなので、取引量も多く、決算前に会計情報を整理する時間的な余裕がない。
「会計情報をまとめたいのだけれど、時間の余裕がないため、3か月前までしか経営情報をまとめていない。果たして今、もうかっているのか?それとも違うのか?わからない・・・」
こんなこともよくありがちです。
3 12月・3月は、会計事務所・税理士事務所も年末調整・確定申告で忙しい時が多いので、決算予想を立てる時間的余裕が少ない。
12月と3月は会計事務所・税理士事務所も繁忙期のため、試算表を定期的に作成できる会社の決算予測しか作れません。半年分をぎりぎりに作成する中小企業も珍しくはないため、どうしても後手・後手になってしまいます。相談しようにも数か月前の経営情報しかないため、決算予測を依頼しても的外れなものになる可能性が高いです。
また、気に入って顧問契約したいと思った会計事務所があったとしても、キャパオーバーのため、断られる可能性も高いです。
*人気のある事務所は、12月と3月の顧客を多く持っているので、新規のお客様を受け入れることが難しいことも多いです。
12月決算・3月決算にした方に朗報!決算期は変更できる!
残念ながら、なんとなく決算期を12月や3月にしてしまった。
そんなかたは、決算期の変更が可能です。
3月決算を別の月に変更したい場合、臨時株主総会で定款変更を議題として挙げて変更を議決することで可能です。
そのあとに、臨時株主総会の議事録を作成して、税務署・県税事務所・市町村役場に3月末までに届出をすることで変更可能です。
3月決算・12月決算を変更することの税務上のデメリット
3月決算・12月決算を変更することでデメリットも生じる可能性があります。
おもに消費税の問題が大きいです。
細かい話になるため、割愛しますが、消費税を払う必要がある人に変更されてしまう可能性があります。
もしも必要があるのであれば、お近くの税理士に相談して慎重に時期を見定めることをが肝要だと思います。
あえて3月決算・12月決算のままでいくという選択肢もあります。
今回の税制改正によって、消費税の申告・納税期限の延長が決定しました。(申告納税の期限が、1か月延びます。)
これによって、法人税・地方税・消費税の3つがすべて申告納税期限の延長が適用されることが可能となりました。(令和3年3月末~申告期限を迎える法人から適用可能。)
この延長の届出3種類を提出することで1月時間的な余裕が生まれます。
これを使えるかどうかは、定款に「決算月から3か月以内に株主総会を開催すること」の記載があるかどうか確認してください。
この届出の本旨は、監査法人が入っている上場企業の場合、監査の関係で、株主総会開催まで時間がかかるため、3か月後まででもOKですということでした。
実務上、定款に記載があれば、個別の事情まではあまり問われないということです。(このあたりがすこしぼんやりしている実務上の経験です。)
もしも、このまま決算期に強いこだわりがあるかたは、この方法もご検討ください。